書き方ガイド
読書感想文の書き方
── 5つのステップで「自分の言葉」で書き上げる
「あらすじを写して終わり」「最後の一行だけ『おもしろかったです』」。読書感想文がそうなってしまうのは、お子さんの力不足ではありません。手順が知られていないだけです。オンライン読書ゼミ「名著探究」が、教室で実際に使っている手順を公開します。
なぜ、読書感想文は書けないのか
多くの子は、本を閉じた直後に原稿用紙へ向かいます。そして固まります。当然です。感想は、書く前に抱くものだからです。心が動いていないのに書こうとすれば、あらすじをなぞるしかなくなります。
もうひとつの原因は、「読む」と「書く」のあいだにあるべき工程が抜けていることです。それは「話す」です。大人でも、映画の感想は誰かと話すうちに言葉になっていきます。子どもならなおさら。読んだ本について誰かと話す時間こそが、感想文の原料をつくります。
以下の5ステップは、この2つの欠落を埋める手順です。
ステップ1 ── 「書くために」読まない
感想文のために読み始めると、本は宿題になります。まずは普通に物語を楽しみながら、心が動いたページに付箋を貼るだけにしてください。「いいな」「ひどい」「自分ならこうしない」──理由は言葉にできなくて構いません。動いた箇所に印が残っていれば十分です。
付箋は3〜5枚もあれば足ります。全部に貼ろうとする子には「いちばん心が動いたところだけ」と声をかけてください。
ステップ2 ── 気持ちに名前をつける
付箋の箇所をもう一度ひらき、そのときの気持ちに名前をつけます。「うれしい」「かなしい」だけでなく、「もやもや」「うらやましい」「ずるいと思った」「ほっとした」──ぴったりの言葉を探すこと自体が語彙の学習になります。
ここで大切なのは、気持ちに「正解」がないことです。主人公に腹が立った、という感想は立派な感想です。むしろ賛否が分かれる場面ほど、感想文の核になります。
ステップ3 ── 誰かに話す(ここが分かれ目)
付箋と気持ちの名前が揃ったら、書く前に誰かに話してください。家庭なら夕食の時間で十分です。聞き手(親)の仕事は、上手にうなずくことと、ひとつだけ問いを返すことです。
聞き手が返したい問い
「どうしてその場面が気になったの?」
「自分だったらどうした?」
「前にも似たこと、なかった?」
3つ目の問いが重要です。本の場面と自分の経験がつながった瞬間、その子にしか書けない感想文の材料が生まれます。読書感想文とは、本の紹介文ではなく、本を鏡にして自分を書く文章だからです。
ステップ4 ── 設計図をつくる(あらすじに逃げない)
いきなり原稿用紙に書かず、4つの箱を埋める設計図をつくります。
| ① 本との出会い | なぜこの本を読んだか。表紙の印象、最初の予想。 |
|---|---|
| ② 心が動いた場面 | 付箋の中からひとつ。何が起きて、どんな気持ちになったか。 |
| ③ 自分の話 | その場面とつながる自分の経験。ここが感想文の心臓部。 |
| ④ これから | 読み終えて考えが変わったこと。明日から自分はどうするか。 |
あらすじは①と②に一、二文入れば十分です。分量の主役は③。「あらすじ7割」の感想文と、「自分の話が7割」の感想文。読み手の印象が決定的に違うのは後者です。
ステップ5 ── 下書き、音読、それから清書
設計図の箱を、順番に文章へふくらませれば下書きの完成です。書き上げたら声に出して読むこと。主語と述語のねじれ、同じ言葉の繰り返しは、目より耳がよく見つけます。直してから清書に入ります。
学年別の字数と提出ルール(2026年・第72回コンクール)
青少年読書感想文全国コンクールに学校経由で出す場合の規定です。学校独自の宿題の場合は、学校の指示が優先です。
| 小学校低学年 | 本文 800字以内 |
|---|---|
| 小学校中学年・高学年 | 本文 1,200字以内 |
| 中学生 | 本文 2,000字以内 |
- 応募は在籍する学校を通じてのみ行えます(個人応募はできません)。
- 提出は自筆・手書きです。パソコン打ちは不可です。
※最新の規定は学校からの案内、または公式サイトでご確認ください。
やってはいけない3つのこと
- あらすじ作文 ── 本の要約は感想文ではありません。設計図の③(自分の話)を主役に。
- 穴埋めテンプレート ── 「ぼくは○○だと思いました」を並べるだけの型は、どの子が書いても同じ文章になります。読み手には分かります。
- 大人やAIの代筆 ── 提出は自筆ですし、何より「書けた」という経験こそが宿題の価値です。手伝うなら、ステップ3の聞き手に回ってください。
2026年の課題図書から書くなら
今年の課題図書のうち、対話型の読書ゼミとして特におすすめできる4冊について、読みどころと感想文のヒントを学年別にまとめています。
- 低学年 ── 『まこちゃんとコトバロボ』の読みどころと書き方(書籍を購入)
- 中学年 ── 『まだまだここから』の読みどころと書き方(書籍を購入)
- 高学年 ── 『ミシュカ』の読みどころと書き方(書籍を購入)
- 中学生 ── 『君の火がゆらめいている』の読みどころと書き方(書籍を購入)