課題図書 2026 ── 小学校高学年の部
『ミシュカ』で
読書感想文を書く
今年の課題図書のなかで、もっとも文学性が高く、もっとも対話が深まる一冊だと私たちは考えています。「行間を読む」体験ができるこの物語の読みどころと、1,200字の感想文の書き方をまとめました。
どんな物語か
アフガニスタン生まれの9歳の少女ロヤが、飼いウサギのミシュカに語りかける形で、国を追われた家族の長い旅と、オランダで見つけた新しい日常を描きます。共作者エルマン自身の家族の実話がもとになっており、オランダで権威ある児童文学賞をダブル受賞、世界12か国で翻訳されています。
この本の読みどころ
なぜロヤは、ウサギに話すのか
この物語は、少女がウサギに語りかける形で進みます。なぜ人間ではなくウサギなのか。誰にも言えないことを抱えた人は、何に向かって話すのか。この「語りの構造」に気づいたとき、物語は二倍深くなります。感想文の切り口としても、他の子と重なりません。
書かれていない悲しみを、行間から読む
この本の悲しみは、大声では書かれていません。穏やかな日常の描写の奥に、静かに流れています。「書かれていない気持ちを、根拠を挙げて推測する」──高学年でぜひ身につけたい読みの技術が、この本でこそ練習できます。
世界のニュースと、自分の経験がつながる
難民、故郷、家族。社会的なテーマの物語ですが、芯にあるのは「大切なものを失うこと」「新しい場所で居場所をつくること」です。転校、引越し、クラス替え、卒業──子ども自身の経験と地続きなのです。社会の話と自分の話、その両輪で書けるため、感想文に深みが出ます。
親子で話したい3つの問い
対話の種
「ロヤがいちばん失ったものは、何だと思う?」
「どうしてロヤは、ミシュカに話すんだろう?」
「『居場所ができる』って、どういうことだと思う?」
1つ目の問いは、答えが人によって割れます。家か、友だちか、ことばか、当たり前の毎日か。答えが割れる問いこそ、考えが深まる問いです。家族で意見が分かれたら、それぞれの根拠を本文から探してみてください。それはもう、感想文の下書きです。
1,200字の感想文にするには
高学年の部の字数は本文1,200字以内(原稿用紙3枚)です。高学年では、場面の感想だけでなく「考えたこと」へ一段あがる構成をおすすめします。
| ① 出会い(約1割) | この本を選んだ理由。「難民」という言葉から想像していたこと。 |
|---|---|
| ② 心が動いた場面(約3割) | 行間から気持ちを読み取った場面をひとつ。なぜそう読めたのか、根拠も。 |
| ③ 自分の話(約3割) | 「大切なものを失った」「新しい場所で居場所をつくった」自分の経験。 |
| ④ 考えたこと(約3割) | ロヤと自分を重ねて、「居場所」「ふるさと」について考えが深まったこと。 |
あらすじの説明に流れず、ひとつの場面を深く。詳しい手順は読書感想文の書き方 ── 5つのステップをどうぞ。
